記録映像データ詳細表示

作品No sa-00105 
ジャンル 短編 
作品タイトル 明治の洋風建築 
フリガナ メイジノヨウフウケンチク 
製作会社 桜映画社
スポンサー 文化庁 
製作年 1972年 
分数 28分 
カラー 
言語 日本語版 
カテゴリー 美術工芸・文明開化・明治建築・記録 
シノプシス 「明治洋風建築は、明治という大きな転換期の日本の社会で、当時の人々のひたむきな努力と、創意工夫の象徴として見ると、つきない興味がある。そこには新しい西洋文明に触れた先人たちの衝撃と興奮が息づいている」(監修者の言葉から)。
 現存する明治時代の洋風建築を、南から北へと時代を追ってたどっていく。 
映像内容 桜島の噴煙を望む薩摩藩主の邸内には、幕末に建てられたわが国で最も古い様式の機械工場や、いわゆるお雇い外人が住んでいた木造洋館が今も残っている。長崎へ行くと、よく知られたグラバー邸。これは薩摩藩や長州藩に武器や機械を売り込んだイギリス商人グラバーの住居であった。長崎港を一望に見下ろす丘に建っている。幕末の長崎には300人もの外国商人と、それを守る1000人以上のイギリス軍隊がいたという。彼らのためのキリスト教の礼拝堂が大浦天守堂で、わが国の洋風建築では唯一の国宝になっている。
 明治初年、貿易の中心は横浜に移ったが当時の建物は今はなく、現存する本州の洋風建築で最も古いのは新潟税関庁舎で、明治2年の完成である。政府は貨幣制度を近代化するために大阪に造幣寮を建設したが、その貨幣鋳造工場の実に堂々たる玄関が今も残って、明治の人の気概を物語っている。ついで、群馬県の富岡にフランス人の設計・監督で官営の機械製糸工場が建てられた。赤煉瓦の建物が繭倉庫として今も残っている。
 明治の文明開化は、政府の上からの近代化政策として行なわれ、洋風建築はほとんどが公共建築ばかりである。教育も寺子屋から学校教育に変わり、おいおい全国各地に洋風建築の学校がお目見得する。明治9年に完成した長野県松本市の開智学校は、豪商や豪農の寄付金で、地元の棟梁が各地の西洋館を見て廻って建てたものだという。錦絵から抜け出したような全景、黒い屋根に白い大壁と洋窓。正面玄関の2階ベランダ、さらにその上の屋上には八角形の太鼓楼。その上に風見鶏。庇下の「開智学校」の看板を支えるのは、西洋の天使で背中に羽がはえている。しかしその下方の欄千には雲と龍、これは東洋の登龍門である。当時の人々の学校教育にかけた夢と情熱がうかがえる。
 山形県最初の公立病院、済生館も時代の夜明けをうたう美しさがにじみ出ている。ついで、三重県庁舎、東山梨郡役所と見ていく。古い歴史を持たない北海道は、当時のアメリカの畜産農業とともに開拓者的な精神を移植するには格好な風土だった。ここには札幌農学校の畜舎、倉庫、時計台として知られる旧演武場、洋風ホテルの豊平館が残っている。これらの建築は札幌農学校の土木学教師、アメリカ人ホイラーの設計だといわれる。北海道庁旧本館は明治21年の建築で、この頃から日本人による本格的な赤煉瓦の建築時代が始まった。熊本第五高等中学校の本館、東京駿河台のニコライ堂、丸の内の赤煉瓦街の旧三菱1号館、そして明治中期を代表する日本銀行本店。これはイギリス人コンドルに学んだ辰野金吾の設計監督で、石造建築に見えるが煉瓦造りに厚く石を貼ったものだ。
 明治の洋風建築は、公共建築ばかりで、県庁、郡役所、警察など中央集権の官僚機構の権威を示すものとして建てられたことがうかがえる。わずかなハイカラ好みの木造洋館(本郷の岩崎邸など)の他は、大多数の日本人にとってまだ〈よそもの〉だった。しかし明治時代の日本人は、西洋を強く意識して生きていた。そしてこの異質のものに、ためらいもなく取り組んだのであった。赤坂離宮(現・迎賓館)は、わが国の明治洋風建築の様式と技術の総決算であり、最大のモニュメントである。明治洋風建築は、日本の近代建築の夜明けを語る貴重な文化遺産である。

桜島の噴煙を望む
薩摩藩主別邸
機械工場
絵図 薩英戦争
異人館
機械紡績工場
甲突川石橋
長崎港
グラバー邸 外景
グラバー邸 室内
リンガー弟邸 全景
長崎居留置跡
大浦天主堂
横浜海岸通り
新潟税関庁舎
大隊訓練の図
横須賀製鉄所
造幣寮
富岡製糸所 錦絵
富岡製糸所 まゆ倉庫
富岡製糸所 外人技師館
札幌農学校
札幌農学校 トウモロコシ倉庫、畜舎
時計台
豊平館
文明開化
西洋館と馬車
築地ホテル
三井ハウス
第一国立銀行
開智学校 外景
開智学校 内部
斉生館 本館 外景
斉生館 本館 各所絵図
三重県庁舎 全景 廊下
山梨東山郡役所
町の建物 大井肉店
町の建物 牛肉屋店先
町の建物 靴屋店先
町の建物 床屋
北海道庁本館 外景
サッポロビール工場
熊本第五高等中学校本館
日本ニコライ堂 全景
三菱一号館
日本銀行本店
岩崎邸
ハッサム邸
京都ヨハネス教会堂
小寺家厩舎
横浜正金銀行
慶応大学図書館
赤坂離宮 花鳥の間、朝日の間、孔雀の間、エジプトの間
 
地域情報 鹿児島県/長崎県/新潟県/大阪府/群馬県/明治村/山形県/北海道 
スタッフ 製作・脚本・演出:村山英治
撮影:木塚誠一
音楽:山内忠
解説:久米明 
受賞歴 文部省特選
第27回芸術祭大賞 
1972年教育映画祭最優秀作品賞・文部大臣賞
第27回毎日映画コンクール教育文化映画賞
1972年キネマ旬報ベストテン第1
第28回東京都教育映画コンクール銀賞
1972年観光映画コンクール優秀賞 
画面サイズ  
備考・関連情報 監修:東京大学助教授 村松貞次郎 
参考画像
 
フィルム原版 35mm 
ライブラリー窓口会社 桜映画社
試写 お問い合わせください 
素材提供 お問い合わせください 
公開動画  
◀ 戻る

このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。

Copyright © 2020, Kirokueiga Hozon, All Rights Reserved.